「写真花」とは・・・、
かつて、会報誌「いけばな草月」用に運び込まれた最高の花材の中から、草月流初代家元 勅使河原蒼風宗匠が自ら選び活けた花を、土門拳さんほか当代一流の写真家が撮影をする、その行事の名称だったそうです。そして今でも草月流では、活けた花を写真撮影することの呼び方として、「写真花」という言葉が使われています。


勅使河原蒼風宗匠は・・・、
草月流の創始者として日本古来のいけばなの常識を覆し、現代のいわゆる「いけばな」というイメージの根幹を創り上げた芸術家です。華道家であるとともに、前衛芸術家としても国内外のアーティストとの交流が深く、中でも東京オリンピックのポスターやニコンFのデザインで有名な亀倉雄策さんや、写真家の土門拳さんとは、兄弟と呼ばれるほど親交が深かったそうです。
いけばな=花のイメージが強いのは当たり前ですが、別な視点で見ると、いけばなは空間デザインそのものであり、構図を始めとして写真の世界と相通じる部分が数多くあります。
その意味からも、蒼風宗匠が残された花伝書こそ、いけばなばかりか、写真を目指す人々にも通ずる極意ではないかという思いから、一番象徴的だと思われる以下の文章を抜粋させていただきました。



花は美しいけれど
いけばなが美しいとは限らない
花は いけたら 花ではなくなるのだ
いけたら 花は 人になるのだ
それだから おもしろいし むずかしいのだ
自然にいけようと
不自然にいけようと
超自然にいけようと
花はいけたら 人になるのだ
花があるから いけばなは できるのだが
人がいなければ いけばなはできない


(勅使河原蒼風 土門拳 写真集「私の花」(1966年講談社刊)より)

写心花」は・・・、
植物たちの肖像を「いけばな」ならぬ「しゃしんばな」として、色のないモノクロームの世界に表現した作品です。やがては枯れ逝く可憐な命たちとの一期一会を大切に、その刹那をアートとして、永遠に写し留めることが出来ればと思っています。

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